大国 インド







インド。

他のインド経験者から「あそこは特別」「良くも悪くも刺激的」など、色々な意見を聴いていた僕は、恐れながらもやはりどうしても外せない国だなと考え、オーストラリアからインドのコチという街に飛んだ。

当たり前やけど機内はほぼインド人。

近い将来中国の人口を抜くだろうと言われている大国インドをフライト中に体験した。

そして空港について建物を一歩でると、文字通り、溢れんばかりの人。人。人。
お迎えやお見送りの人達でごった返していた。
彼らは空港建物内には入場禁止のようで、チケットを持った人だけが入れる様子。
さすが人口の桁が違うとそういう規制もあるんやなと思った。

街までは電車で何10円でいけるはずが、災難な事にその日鉄道ストライキで全線運行停止とのニュース。

タクシー乗り場で同じバックパッカーに話しかけ、タクシーシェアをして街まで向かった。

バックバック背負って一人で旅してるタイプの人は、大体同じような節約者やから見分けがつきやすくて良いなぁといつも思う。

ちなみに空港でインドのSIMカード買ったんやけど、高速ネットが毎日3GB使えて1ヶ月なんと600円。
他の国と比べても圧倒的な安さ。
さすがITの発展が目まぐるしい国。
そして日本の通信会社はぼろ儲けしとるなと感じた。

さて、インド初めての街の名前はコチというところ。

人が多すぎて驚いた!と言ったところで、コチはインドの中ではそれほど大きな街ではなく、人は多いけどみんなリラックスしたような雰囲気で、舗装されていない道路などが雑多さを醸し出していた。

1ヶ月間のインド滞在、どんな経験をするんやろかと考えながら街を散策していると、

「ヘイ!ヘイ!どこいくの?」と僕に対しての声かけが聞こえてきて、
(また物売りか何かかな?面倒くさいな。)と思いパッとみると、小学校2年生ぐらいの男の子がまっすぐこっちを見て僕の横を歩きながら勝手に自己紹介を始めた。

この時、瞬間的にというのか、本能的にというのか、あぁこの子は純粋な子やと感じた。

「鉛筆がなくなったから、今から買いに行くんだよ。」
「どこから来たの?日本かぁ。行ってみたい。」
「将来はエンジニアになりたい。だから勉強頑張るんだ。
じゃあここで鉛筆買うから。ばいばーい。」

人懐っこさレベル、インド。

可愛い純粋無垢の愛嬌の中に、肝が据わり、物怖じしない度胸。

日本人のシャイで相手の気持ちを読むという雰囲気とは真反対。

国が違えば常識も違う。この国の常識からいろいろと感じる事があるやろなと確信した。

体感としてはインドの人たちは、恐らく他人に興味深々で、ましてや顔立ち、肌の色、国籍が違えばその興味を隠しきれない様子。

今回はそんなインドの人たちとの体験を書いていきたいと思う。

何と言ってもインドは国土も広く、人も多い。
そのため、鉄道やバスの公共交通が充実している。

しかし、忘れてはならない人の多さ。
駅で切符を買おうもんなら、時間帯によっては大行列。

券売機はなくカウンターで購入するんやけど、ある駅で大行列を目にして、ゲゲー。と思いながら並び、ようやく僕の番。

ちゃちゃっと済ませようと、
「◯◯行きを一枚ください」と注文し、お金を払い、切符を受け取り「サンキュー」と言ったところで立ち去ろうとする。

すると販売員の女性が
「ちょっとちょっと!あなた!」と僕に言い(なんや!?)と思ったら、

販「あなた、どこから来たの?」

僕「日本です」

販「そうなの。じゃあね」

僕(???)

それ今、聞かなあかんか!

僕の後ろの大行列みえへんか。

とにかく1%でも気になれば、聞かずにはいれない国民性なのかもしれない。


インドのファストフードのバーガーショップは興味深い。
ヒンズー教の教えから牛肉を食べる人が少なく、イスラム教徒も多いので豚肉を食べない人も多い。

お腹が空いたのでバーガーキングに行くと、チキンか羊肉、またはベジタブルバーガーのみで、日本で定番のビーフやポークバーガーは置いていない。

吉野家、松屋はインド進出なんて毛頭、微塵も検討していないだろう。

せっかくなので、羊肉バーガーを店内で食べていると、小学校高学年ぐらいの男の子2人が隣の席に座って談笑していた。

(話しかけてきそうやな。。)と思ったら、やっぱり話しかけてきた。

子どもながら英語も上手に話す。

インドの平均所得からするとバーガーキングも安い値段ではないので、彼らの家庭はそれなりの階級で、きっちりと教育を受けているのだろう。

「どっから来たの?」から始まり、将来の夢は社長になる事といい、僕のインスタグラムをフォローして、話も上手で僕も楽しい時間を過ごしていた。

そして「日本のお金持ってないの?みせて!」と頼まれた。

変な質問のように感じたが、インド滞在中、合計3回同じことを聞かれた。

「偽造防止の技術がすごい」と感心している人もいた。

たまたま5千円札を持っていたので見せると、「おー初めて見たぜー!この価値はいくら?」といい、

「俺の100ルピー(約150円)と変えてくれよー!がはははは!」と冗談も言っていた。

「俺は将来、もっと金持ちになってこれをいっぱい手にいれるぜー!」と野心も語っていた。

小学生ながら貫禄と余裕のある感じと、国際的にみてもインドは勢いがあるというイメージの縮図のような彼だった。

 
インドは人口の多さを肌で感じるが、大都市でも観光地でもあまり外国人(インド人以外)を見ることが少ない。

なので見た目の違う東アジア人の僕なんかは、もろ外国人なのである。

見知らぬ子どもたちからの声かけより多いのが、インド人男性からのお声がけである。

インド人女性は控えめで大人しいイメージだが、男性はまさにグイグイと言ったところ。

中でも他国ではあまりないなぁ、と思った体験はスマートフォン片手に近寄ってきて
「セルフィー撮ろ!」と言われるのである。

大阪万博が開催された頃、一般の西洋人にサインをもらったり、写真を撮ったりしてもらったと聞いた事があるが、まさにそんな感じの物珍しさなんだろう。

最初の頃はいきなり「セルフィー撮ろう!」と声をかけられて、(え?なんで?)とやや困惑していたが、回を重ねると、

(はいはい、セルフィーね。わかったよ。仕方ないね。ふっ。)と気分はハリウッドセレブ。

僕みたいな華もない一般人が写真をお願いされるなんて、やっぱりどこか嬉しい気持ちがある。

パシャっと一枚撮っては、「サンキュー」と言われて去っていく。

「よう、見ろよ。こんなに目の細い奴に会ったぜ!」などと仲間内で話のネタにされるのだろう。

ある人は「これが昨日撮ったイギリス人デービッドで、これがカナダ人のダニエル。」などど過去のコレクションを見せてくれた。

まさに、しらんがな!!である。

そんな経験を繰り返していると、セルフィー目的で近づいてくる雰囲気を察知できるようになり、ある時人混みの中で3人組の男性の視線を感じ、スマホ片手に「セルフィー?どうする?」とひそひそと話している様子を感じた。

「セルフィーかい?いいよ!」となどと、僕から提案するのはちょっと違うので、正式に声を掛られるのを待っていた。

(ふっふっふ。セルフィーでしょ。珍しいんでしょ。僕が。もう慣れたもんよ。)と心の中で考えていると、その3人組は二言三言話し合って、スッと人混みの中に消えていった。

(撮らんのかいな!!)と思ったと同時に、

(あぁ、選ばれなかったのね。。)と、受けてもないオーディションに落ちる。告白してないのに振られる。何かに落選してしまった。何となく悔しい気持ち
を抱えてしまうこともあったのであった。

「インド人もビックリ!」なんていい方もあるように、インドの人たちの気にしない精神や度胸を体感したインド。

まだいくつかのネタがあるので、次回に持ち越ししたいと思う。