空を自由に



スカイダイビングしたいな。

空を見上げるたびに、僕はそう思う。

いつかあの空を。

飛ぶことができれば。

そういった考えが、四六時中、頭の中を駆け巡る。

それは僕の使命なんだ。

そう気付いた。

オーストラリア、パース。


最近流行りの何かの小説のようなスタイルではじまりました、なおやのせかいさんぽ。

いったんアジアを抜けて、オーストラリアのお話でございます。

バリからオーストラリアのパースに向かった僕は、意気揚々、余裕しゃくしゃくだった。

なぜなら、パースでは高校からのお友達ユキちゃんとその彼氏のマルコの家に泊まらせてもらう事になっており、なんと空港までマルコが迎えに来てくれる事になっていた。

オーストラリアは物価が日本よりも高くて、ボロい安宿の共同部屋でも一泊3500円とかする、バックパッカーにとっては、なかなか厳しい場所。

そんなオーストラリアはパース、アデレート、メルボルンとお友達の家に泊まらせてもらうという旅を組んでいた。

本当に、心の底から持つべきものは友だなと思った。
もちろんお金の事だけじゃなくてね。

これまでの旅は目的地の空港なりバスターミナルについて、ワクワクしながらも一息つく間もなく、まずは宿に向かう手段を探すというのを繰り返していたが、今回は何と、空港でたらいるのよ!

友達が。マルコが。

「マルコー!久しぶりー!ごめん遅くなってー!」

と喜びを爆発させた僕やったけど

マルコ「ここ10分までしか停車したらアカンくて、長い事泊めてたら警察に怒られるねん。さぁ、行こうか。」

僕「ごめん。。。」

喜びの再会もそこそこに、改めて早速謝罪。

でもマルコとは車中では久しぶりの再会で、お互いに色んな近況を話した。

家で待ってくれているユキちゃんは、長年オーストラリアに住んでいて、オーストラリアで会いたい!とここ数年ずっと言っていた。

久しぶりの再会。

「家、着いたよ。」とマルコが言う。

僕は若干の緊張を感じながら、車を降りる。

少し胸が高鳴る僕。

(あ、ゆきちゃんだ。。。)

どんな事を話そうか。

気持ちが高ぶる。

ゆきちゃんの表情が見える。。。


ニヤニヤしているゆきちゃん
「えー、あんたがココにおるなんて変な感じやなぁ!」

僕「ほんまやんなぁ!」

終わり。

インターネットの21世紀、久しぶりにあったところで、連絡も度々とってるし、まぁそんなもんやんな。

2週間ぐらいお邪魔する予定で来たものの、ゆきちゃんには来る前から、「パースそんなにいっぱい見るところないよ」と言われていた。

今思うと、「2週間もおらんとさっさと次行けや。」という合図だったかも知れない。

空気読めてなかったかも知れへん僕やけど、オーストラリアではのんびりとビーチや自然を満喫したいから、「全然オッケー」と言って長居していた。

2人が仕事をしている日は1人でブラブラとビーチや街にでたり、夕食を作ったりして過ごしていた。

日本食が相当恋しくなっていたので、キッチンで自炊できる事がホンマにありがたかった。

バックパッカーの旅のスタイルとは違う、のんびりとしながらも非日常な日々を過ごし、そして年があけた2018年、元日。

大晦日にカウントダウンのパーティーをして、疲れていた僕は夕方までダラダラとしていた。

夜が更けた。

ふと見上げた空が綺麗。

星たちがキラキラと輝く空。

そんなところに少しでも近づけたならば。。。

いや、近づきたい。

近づいてみたい。

無限に広がる、空に。

飛ぼう。空から。

そして、辞めよう。

この小説風の語り部を。

飽きてきたと思う、僕も、そしてみなさんも。

という訳で、冒頭にもお伝えした通り、スカイダイビングがしたい気持ちが高鳴った。

翌日の1月2日だけ何の予定もなく、やりたいと思ったらすぐに実行したい僕はすぐにネットで検索。

物価高のオーストラリアでもスカイダイビングは日本より割安で2万3千円ぐらいやった。

しかし、既に前日の夜だったので、スカイダイビングのネット予約では《受付終了》の文字。

そうよね。人生そうもうまくコト進まんよね。

しかし、翌日の朝、諦めきれなかった僕は、スカイダイビングの会社に電話して
「今日、飛びたいんです!」と直談判。

「11時からなら空いてるわよ!30分前には来てね!」 と言ってくれたので「行きます!」と答えた。

意外とうまくコト進むのが人生。

「マジでチャリで行くん?」とユキちゃんとマルコに言われた30キロの道のりを、自転車でせっせこ漕ぎ続け、スカイダイビングの事務所に、指定時刻の30分前に到着。

スタッフの人「前の人の時間がおしてて、1時間半後になっちゃうわ。ごめんね。」

(あんたが30分前に来てって言うたやないの!)と思いながらも、海外では良くある事なので「はいはーい」と返事をして、近くのビーチでくつろいでいた。

ちなみにオーストラリアのビーチは街中でもどこでもホンマに綺麗。

今から何するんやったかいな。と本来の目的を忘れそうになりながら、ビーチで黄昏ながら、すぐ1時間半が過ぎた。

事務所に戻り15分ほどスカイダイビングの体勢のレクチャーを受ける。

意外と簡単やなぁ。と思いながら、ジャンピングポイントまで車で移動。

意外と1人での参加者も多く「初めて?ドキドキするよねー。」など交流し、僕のインストラクターは陽気なイタリア人で「日本人?1人?珍しいねー!」などど話しながら、滑走路と小さなセスナ機が1つあるだけの小さな飛行場に到着した。

陽気なイタリア人インストラクターは、後で売りつける為のビデオを撮影しながらずっと喋ってて、それで緊張がとけたのもあってか、プロペラ機を見た瞬間に(あ、僕、今からスカイダイビングするんや。)と実感が湧いてきた。

「はい、飛行機に乗ってねー!」っと搭乗を急かされ、いよいよ離陸。

イタリア人インストラクター
 「なおや!いよいよジャンプだぜ!気分はどうだい?!」

僕「いや、実感湧いてないけど、、、ほんまに空から飛ぶんやな!緊張してきた。」

インストラクター「その為にお金払ったんだろう!!ハハハ!」

せやけど。

インストラクター「 3、2、1 スシー!でジャンプしようぜ!」

日本人やけども。

いつもならなんなとリアクションしてあげるけど、「おぅ、おっけー」としか返事できひんかった。

窓から景色はいつも利用してる飛行機と同じで、ぼーっと眺めていた。

フッとしたときに(あ、せやせや。スカイダイビングの飛行機や。これ。)と思い出しては、気づいたら知らん間に高度4500メートルに到着していた。

(あ、心の準備できてないわ。これ。)

と思った矢先、陽気イタリア人インストラクターが

「さぁ!なおや!俺たちはトップバッターだぜ!!」

いや、先いうとけよ、お前。

僕「えっ、ちょっと、マジ?!今?!すぐ?!」

ハーネスで繋がった僕と陽気イタリアン。

ぐいぐい引っ張られ、バリバリッとハッチが開くと同時に爆音の風の音。

(ぎゃー!!こんな高いのに壁ない!!)

声にならないとはこの感覚で、何が起こってるのかわからなかった。

ここからは想像よりぱっぱと事が進み、

インストラクター「さぁいくぜ! 3、2、1、、」

僕「sushi------。。。」

真面目な日本人の僕。一応言う。

喉の奥で微かに発したスシサインを言った後は、頭から真っ逆さま。

いつもの景色が天変地異のごとく、上下逆さま。

脳みそが事情をうまく処理できてない感覚を初めて経験した。

怖いというよりかは、(ぎゃー!!!おかーーーさーーーん!)という感じ。

声にもなってない。

その後はムササビみたいなポーズで数十秒間、急降下。

(うぉぉおおおおおおおお!)と心の悲鳴。

めちゃくちゃ爽快やった。

インストラクターが「パラシュート開くぜ!」と言った後、バッと体が引っ張られて、しばし空中散歩。

まさかやけど、ほんまにパラシュート開いてよかった。と思った。

綺麗な海の景色をこんな角度から眺める経験はとても気持ちのいいものだった。

地上に降り立つ。

いつも当たり前に歩いてる地面に対して (あぁ、地面さん。。。ありがとう。)と感謝の気持ちさえ湧いていた。

インストラクターは「どうだい最高だっただろう!」と聞いてきたので、僕は「本当に新感覚の体験でマジで最高やった!ありがとう!」とアドレナリン出まくりのテンションぶち上げ状態やった。

インストラクター「日本人とダイブしたのは初めてだったから、今日の晩御飯はスシを食べるよ!HAHAHA!」と陽気に笑っていた。

スシネタひつこいなコイツ。

彼にも美味しいスシを当たり前に思うのではなく、感謝しながら食べて欲しいなぁと思う。

インストラクターが撮影していた売りつけ用のビデオの一部を試聴させてくれるとの事で、事務所に戻って確認した。

それはまぁ酷い顔やった。

受付の女性「ビデオは追加で15,000円よ!今日から1ヶ月間はオンラインで購入できるわよ!」

非常に高いのである。

高額なのはわかってので買うつもりも元々なかったんやけど、

僕「いやぁ〜個人的にはメッチャ欲しいんやけど、奥さんに許可無しで勝手に買ったら絶対に怒られるから、帰って説得してみるよ!」

と言った。

いや、僕そもそも結婚してへんやん。

旅とか理由つけて遊びまわってる無職やん。

とっさについた我ながら上手な言い訳の嘘やったけど、受付の女の子も「その方が絶対いいわね!」と笑い、僕はその場を去り、同じ30kmの道のりをチャリで帰った。

旅中はどんな時も非日常なんやけど、特別に非日常な数分間を体験でき、人生でやりたい事リストの1つをチェックできて大満足やった。

やりたい事リストはまだまだあるので、これからもリストにどんどんチェックしていけたらええなぁと思った特別な一日だった。