人情の街、ホイアン






ホイアン。

ベトナムの中でも歴史的な貿易地でベトナムと中国と日本の文化が織り混ざった何とも趣のある世界遺産の街。

現在は観光街として栄えており、街中のランタンが風情を高めている。

夜行バスでホイアンの街にホッポリ出されたのが朝の5:30。

バスの休憩所でドリアン買って、車内で食べやがったオバハンは絶対に許さん。

これまでのブログは誰かと出会ってこんな事あったよーっていう話ばかりでしたが、1人旅というだけあり、もちろん1人でウロウロしている日ももちろんあって、ホイアンには1人で移動し、特に決まった予定もなかったので、早朝から街中を散策する事に。

早めの朝食を食べて、しばらく歩いて、日本橋という日本人が作った橋の裏に路面コーヒー店を見つけ、コーヒー好きの僕は、ベトナムコーヒーを飲んでみたかったので、迷わず頂く事にした。

そこの前を通ると、

コーヒー店おばちゃん「コーヒー!20000ドン(100円)よ!」

と優しい笑顔で呼びかけ。

ふっふっふ。
笑顔の素敵おばちゃんや。
僕はもうあなたのコーヒーをもらうことを決めているんだよ。

愛想の良い笑顔に吸い込まれるように、コーヒーの香りの方へ足を動かした。

お店が用意している机と椅子は川沿いと反対にあったので、風情のある川沿いのベンチに座ってもいいかい?と確認して、アイスコーヒーを1つ注文。

「ワンコーヒー?オーケー!」とこれまた素敵な応対で心温まる。

おばちゃんは道路を挟んだコーヒー屋台に戻り、手際良くコーヒーを準備してくれていた。

はい、おまちどうさま。という雰囲気でお盆に乗せたコーヒーを持ってきてくれた。
おばちゃんは終始笑顔でほんとうにホッコリする。

更におばちゃんはピーナッツのお菓子をサービスで持ってきてくれた。

男前と美女は人生で1億円以上の得をすると言うらしいけど、今回で50円ぐらい積み立てられた。

あぁ、男前でよかった。

ホイアンの朝は風も通り涼しく、風情も後押しして、1人でたそがれるには最高の環境。

しかも、おばちゃん特製のコーヒーは愛情入りで本当に美味しかった。

素晴らしい環境とコーヒーにお菓子、そして僕という役者が揃ったところで、さぁじっくりとたそがれようではないか。

僕(ふっふっふ。一人旅って感じ。たそがれてるー。バックバックを横に置いて、はたから見たら人生とは何か考えてる哲学的なバックパッカーの姿に映ってないかな。かっこいいかな?ふっふっふ。)

自意識高い系バックパッカー。

川の遠くを見つめるように、過剰なたそがれを演出し始めて1分。

右目にかすかに見えるおばちゃんが、何故かお店のプラスチックの椅子を持って、道路を渡ってこっちにきている。

(なんやろ。。??)と思っていると、まるで相席かのように僕の前に椅子をちょこんと置き、よっこらせっというように、ゆっくり無言で腰をかけた。

こちら側の道路には客も含めて僕しかいない。

え、デート感覚?

たそがれモードが一気に崩壊し(なんや?なんや?)と戸惑いながら、おばちゃんが気になってしかたないが、特になにも話さず時間がすぎる。

もはや倦怠期カップルのよう。

おばちゃんは『あーあっついわねー』と言わんばかりに、ウチワで自分の事を仰ぎなら、無言で僕と反対の方を向いて、腰を据えて、さらに遠目をみている。


おばちゃんはまさに【たそがれモード】である。


(いや、それワシがやりたかった事や!!)


おばちゃんは無言のまま3分ほどウチワでクールダウン。

そして急にクルッと僕の方をむいて
「ジャパニーズ?ジャパニーズブリッジ!イェース!」と話しかけてきた。

ドキッとしたけど、片言の英語でホイアンの歴史やオススメの観光地を教えてくれた。

たそがれこそしてなかったものの、ゆっくりした街とマイペースなおばちゃんにとっても癒された。

5分ぐらい喋ったところで他のお客さんがきたので、おばちゃんはコーヒーを準備しに屋台の方へ戻っていった。

7時30分ごろになり、日差しが出てきたので、似合ってないサングラスをかけ、たそがれモードに拍車をかけて、気を取り直して再スタートした。

5時半にバスから降ろされた事もあり、眠たくてちょっと目をつぶっていると、心地よい風が流れてきて、うとうとなりかけていた。

ふと目をあけると、目の前にはそう


OBACHAN

またかい!


と、思ったものの、知らぬ間にまた僕の前に座って、目をつぶっていた僕にウチワを仰いでくれていたのである。

おばちゃん、、、実家の母でもそんな優しい風を生み出せるかわかりゃしないよ。
ほろり。。。

ウチワで仰ぎ続けてくれながら、おばちゃんは
「ホイアン、この時間からホットね!」とジェスチャー付きで伝えてきた。

僕も「ホットだね!」と返事をして、もうたそがれなんてどうでもええわ。と意識を変えて、ホイアンに負けない、おばちゃんの心の温かさを満喫できた、素敵な朝を過ごしたのであった。


みなさんもホイアンに行った時は、ぜひ日本橋裏のコーヒー店に立ち寄ってみてくださいね。