ロッククライミング



クラビはロッククライミングの聖地と呼ばれるぐらい、断崖絶壁の風景が広がっており、ちらほらロッククライマーの姿も。

一緒にピピ島にいたみんなとはお別れしたので、ちょいと1人で崖でも登ってみるかと思い、翌日のロッククライミング教室に申し込んだ。

1人でロッククライミングしてる姿を想像。

 登りきった!やったー!おーい!みんなー!!
ってできひんやん。1人じゃ。

そもそも僕はホンマにロッククライミングなんてしたかったんやろうか。

「聖地」なんて言葉に流されて、うっかり申し込んでしまっただけじゃなかろうか。

うわ。すでにちょっと明日行くん嫌になってきた。

約束したものの面倒くさくなる事ってみんな絶対あるよね。

しかし、キャンセル不可やし、いっちょ腹をくくって。
崖に挑戦しようじゃないか。
周りの参加者がみんなグループでも気にしないぜ。
話しかけるんじゃないよ。
俺は1人で崖と向き合い、崖を制覇する。
そう決めたんだ。

一匹狼、なおや。

と思いながら、部屋に戻ったのが23時半頃。

そこで同部屋の男子1人、女子2人が話してて、初対面やけど、すごいフレンドリーに話しかけてくれた。

彼らはドイツ人のイトコ同士で旅をしてる、ティム、ダニエラ、セリーナ。

色々話しをしてて、ふと
「明日ロッククライミング行くねん」と言うと、

ティム 「いいなぁ!!!俺らも行きたいなと思っててんけど、明日の18時の船で別の島に移動するから、時間がなぁ~。。。」

僕「ちょっと!そこのお兄さん!お姉さん!僕のコースは朝から13時までやから間に合うよ!ほら!この教室なんやけどさ!値段も安くて、いろんな崖を挑戦できるって!その後シャワーあびて、ランチしても出発には十分間に合うって!なんならマッサージもいけるかもね!絶対楽しいよ!!」

一匹狼の決心なんてついちゃいない。

本当は寂しがりやのラビットさ。

みんなでやった方が楽しいじゃない。

ダニエラ「やってみたいけど、、、できるか心配。。。」

僕「カモン!!心配ないよ!僕も初体験やし、筋肉あるタイプじゃないけど、何事も経験やと思うよ!せっかくやし!頑張ろうよ!」

営業マン顔負けのセールストーク。

そして参加を決意してくれた3人。

前日の0時までオンライン予約可能やったもんで、急いで申し込みさせる。

そのとき23時50分。

営業マンから押し売りスタイルに切り替え。

「はよ、入力せい!10分しかねーぞ!!」

ティム「この英語の意味がわからん。。。」

僕「それはハーネスのサイズの入力だーーー!!!!急げ!あと5分!」

必死の勧誘で申し込みも無事完了し、4人は翌日に備えて寝た。


翌日
ラビットなおやは3人がおる安心感のため、ワクワクしながら教室へ。

参加者を見てみると、カップル、カップル、そしてカップル。

(あっぶねーーー。。。まじ助かった。。。)と心の中で叫び。

3人には本当にダンケシェーン。

いざ崖の前に立つ。
最高で25mの崖を登る。

5mほど登ったところで思い出した。

僕は胸、肩、腕あたりの筋肉が乏しい事に。

(あ、やばい。しんどい。。。)と思いながらも、第一、第二の崖をクリア。

ドイツ人のみんなも「想像よりしんどいね~」と言っていたので、
(自分だけじゃないよかった。)と安心したのも束の間、インストラクターが指差したのは難所、第三の崖。

主に脚の力を使って登っていたこれまでと違い、体を反り返らせながら腕の力で全身をひっぱって登るポイントがある。

これは先に登るダニエラとセリーナを見てイメトレをしないと。。。

女2人「なおや、私たち、ちょっと休憩したいから先に登っていいわよ!」

そうきたか。

まぁ仕方ないとトップバッターで第三の崖へ。

難所に差し掛かり、くぼみに指先を引っ掛け、体を持ち上げるも、どうしても上がらない。

というか、指先と腕がメチャクチャきつい。

インストラクター「勢いをつけて右手を先のポイントにもっていくんだよ!」

そんな簡単に言われても。。。と思いながら力を振り絞るも、指先が限界を迎えて、手が離れてしまう。

命綱で中ずりになりながら、
「先生!これは僕には無理かもしれません!」と伝える。

陽気なインストラクター「大丈夫!僕もサポートするからもう一回チャレンジ!」

「はい。。。」
もうあんまり乗り気じゃない返事をして同じポジションに。

インストラクター「さぁもう一度!同じように右手をこっちに!!」

→失敗。

「さぁ、もう一度頑張ってみよう!!!Let’s Try!!」

言うとおもったわ。

この時すでに長時間体を腕で支えてた為、腕がブルブル震えて、指先で岩を掴んでいたので、もう痛くて痛くて。

インストラクター「その右手をもっと伸ばして、もう1つ先のくぼみをつかめ!!」

僕「僕の腕はそこまで長くないです!!!」

崖と戦いながら、ちょっと反抗しだす。

陽気なインストラクター「だから、反動をつけて、右奥に!」

僕「いや、だから!!届けへんねん!!ほら!!」

ジェスチャーを交えて必死にアピール。
腕と指、悲鳴。

僕「イ゛デーーーー!ぼぐゔぁーーモ゛ウ無理デズーーーー!!」

インストラクター「名古屋!ほら!ここだ!ここ!」

僕「わかってるけど、無理なんじゃい!」

 「ほんでMy name is な!お!や!!」

そこはちゃんと訂正する。

バカインストラクター「ほら、いくぜ!3、2、1!!!」

僕「ぐわあーーーーーー!!!!痛いーー!! おかーさーん!!!!!ぐぅゔゔうぁあああああー!!!」

最後の力を振り絞って、なんとか難所を制覇!

しかし、29歳にもなって、おかーさーん!って叫ぶなんて。。。

見守ってくれてたみんなは、笑いながら温かく拍手してた。

降りてからも「Mum!!!(お母さん)って叫んでたよね。」って笑ってた。

どんなところでもピンチの時は「お母さん」


難所を越えた時の喜びと、登った人だけが観れる上からの景色と達成感、そして離れていながらも母の偉大さを痛感したロッククライミング体験でした。